私たちは、あるとき
どうしようもなく向き合わされる。
シビアな現実と。
ここで描かれているのは、
人生とはじめて向き合い、
自分なりに格闘する女性の姿だ。
女たちは「年齢なんてただの数字、
気にする必要なんかない」と言われて
「そうだそうだ」と思う日と
「そうは言っても」と思う日を
行ったり来たりしながら生きている。
その往復運動を
こんなにも鮮やかにすくい取られたら
もう「参りました」と言うしかない。
香港版セックス&ザ・シティ。
29歳は人生の岐路。得たものと失ったもの。
それにしても、なんてチャーミングな映画!
自分の人生についてばかり考えていると、
どんどん心がすり減っていく。
ときにはだれかの人生を想像してみよう。
見ず知らずのだれかの人生を、
自分と比較することなく想うことができたら、
そのときあなたの気持ちは
メイクアップされている。
わたしたちはまだまだはじめられる。
切実なのにすがすがしい、
これはまったく新しいかたちの
「しあわせ論」だ。
私自身30歳を迎える誕生月は
なんだかとてもセンチメンタルになった。
『29歳問題』というタイトルに
胸がドキッとした。
全く異なる人生を生きる二人の女性。
強く生きようとするクリスティに自分を重ね、
ティンロの笑顔に救われた。
幸せの価値は自分で決める。
自由に生きていい、
私たちの可能性は無限大だと、
そう前を向いて、胸を張って生きていける、
そんな気にさせてくれる映画。
愛をなくし、行く道を見失っても、
それまで大切に積み重ねてきた時間と想いは、
決して消えたりしない。
きっと、振り返るに値する。
だからこそひとは再び、
前向きに歩いていけるのだ。
香港の空の下、30歳を目前にした
2人の女性が生きていく姿は、
海を越えて日本の貴女にも、
大切な何かを教えてくれるはず。
生きる中で出会うよろこびと悲しみを
美しい映像で綴る。
登場人物一人ひとりの際立つ個性。
卓越した編集技術によって、
時間と空間を超えて共鳴する
ふしぎな心の領域が生まれる。
「共感」という「音楽」が
画面からあふれ出し、心を揺らす。
見終えると、生きる一日一日が
限りなく愛おしく思えてくる傑作です。
人生はどんな時だって前に進んでいると
信じられる映画でした。
見終わった瞬間から、やりたいことを
一つ残らず実現させたくなりました。
映画とは、コンテンツとして
消費されゆくデータなのではなく、
スクリーンに投射された瞬間から、
暗がりに溶け込むわたしたちの顔に
永遠に反射する。
その頰に照り返された光をこそ
映画と呼ぶのなら、
『29歳問題』は、
わたしたちの映画そのものだった。
部屋と日記でつながる、
まだ会ったことのない二人。
女の友情をこうやって描くことも
できるんだとうれしくなった。
人生を「どう生きるか」じゃなくて
「どう受け止めるか」……
29歳といわず、自分と向き合うタームを迎えた
すべての人に響くメッセージ!
比類なき傑作
常に〆切を設定され、
時間を失うことを何よりも恐れる街、香港。
てのひらから砂がこぼれ落ちるように、
時間が失われていく。
そんな街で二人の女性が出会う。
砂がこぼれきって途方に暮れる彼女と、
砂にまみれて生きる彼女。
幸せはどこにあるか、二人にもわからない。
でもきっと答えは、時間のなかにある
※敬称略・順不同
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